AMIJIMA(心中天網島)を鑑賞


夫がいるラボの同僚を通じて知り合った日本人舞踏家Aki Suzukiさんが出演している「AMIJIMA」を見に行きました。
2009年12月から始まった芝居で、オリジナルは近松門左衛門「心中天網島」です。
もろに日本の題材である近松をどのようなアレンジや演出がされているのか、それを見たフィンランドの人たちがどんな風に感じるのか、とても興味がありました。
オペラ「蝶々夫人」のような光景を想像したり、日本の正しい姿が表現されていなかったらイヤだなと不安になったり………。
芝居は全編フィンランド語のため、登場人物やストーリーはあらかじめキッチリ頭に叩き込んで行きました。
Kansallisteatteri(国立劇場)のチケット売り場で、予約していただいたチケットを購入して、劇場横のOmapohja(オマポホヤ)という小さな芝居小屋へ。
19時からの開演で18時30分に到着。
私と夫以外はみんなフィンランド人。あらま。
会場は100人ちょっとが入れるくらいの小さなスペース。
舞台には日本らしい板壁、丸窓、障子、畳と引き戸の玄関。
賑やかな祭囃子と共に通路を踊りながら登場した出演者たち。
「心中」という重々しいタイトルから、始まりもしんみりした雰囲気を想像していただけに意表をつかれました。
着物と黒髪のカツラを身につけたフィンランドの役者さんたち。
歩き方、手の動き、座り方、立ち方、お辞儀………しっかりと身につけていたので驚きました。
江戸時代の小物、習慣、しきたりなどは、フィンランド人には解説が必要です。
それを行うのがナレーター役の方。
「動く講談」という感じで、わかりやすく解説しているようでした。(フィンランド語だったのでよくわからないんです)
主人公 治兵衛の恋敵 太兵衛がとてもユニークで、高飛車な雰囲気がミュージカル「美女と野獣」に出てくるガストンを思い出しました。
カツラも髱(つと)が大きく、髷(まげ)もリーゼントのような感じで滑稽でした。
舞台は2部形式で、前半はコミカルで多くの人物が入れ替わり登場する「動」、後半は小春と治兵衛が心中するまでを表現した「静」という対照的な舞台でした。
日本の悲劇が受け入れられるのか、共感してもらえるか、客席を見ながら舞台に見入っていました。
Akiさんの踊りが素晴らしく、心中しようとしている二人を死地へ誘う亡霊か死神か………舞台と客席の境がわからなくなって、小春と治兵衛をとりまく何かのような………不思議な感覚でした。
ロングランも決定したそうなので、機会があったら見に行かれてはいかがでしょうか。
5月公演は売り切れていますが、9月からの公演があります。
座席数が少ないので、チケットはすぐに売り切れてしまいます。
AMIJIMA
終演後、Aki Suzukiさん、監督のJuha Mäkeläさん、日本文学研究家で作家のKai Nieminenさんとその奥さまとお話しました。
AMIJIMAの苦労話や笑い話や今日の感想などなど時間があっという間に過ぎてしまいました。
舞台や芝居って、おもしろい!